「たったひとつの冴えたやり方」
SF小説と言う名を借りた、泣くための本。ジェームズ・ティプトリー・ジュニアの作品としては異色作なのかもしれないけれど、個人的には大好きな作品。ティプトリーの作品の中で最高傑作と言う訳ではないけれど、たまに泣きたい時にはこれをついつい読んでしまう。ティプトリーの作品中では、世界観としては「愛はさだめ、さだめは死」の方が上だと思うし、アイデアとしては「つながれた女」の方が優れていると思うけれど、でも、涙腺を緩ませる作品としては一級品だと思うのは「たったひとつの冴えたやり方」の方。大の大人が、涙をぼろぼろと流しながら読む姿は情けないけれど、現実にそうなんだからしょうがないでしょう。
まぁ、個人的にこれほど泣いたSF小説はないし、他の小説を含めてもトップ3には入る様な作品です。主人公の少女が健気で、最後には大人でもできない様な決断をするところがすごいと思います。そして、それを完全にオフラインの状態でしか見られなかった大人達。リアルタイムでそれを追いかける事すらもさせなかった無情さ。宇宙って、こんなに非情なんだよって言うメッセージなのかも知れません。たまに、どうしても泣きたくなるとき、この本の事を思い出してください。
ラベル: 小説
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