読み返してしまう小説
私が大学に入った頃は、「世はなべてSFだった」時代で、SFチックな作品が取り上げられる事が多かった。今でも、大学のSF研の後輩とは付き合いがあったりするんだが。こう言うとなんだが、割りといろんな方面に才能を発揮した奴が多いサークルだった。小説家、翻訳家、漫画家にライター等、やはり書き物関係が多かったが。
多分、この頃が一番本を読んでいたと思う。日曜日等は自転車で古本屋巡りをするのが日課で、買って来ては読むと言うサイクルを繰り返していた。もちろん、マンガやSF小説を含めてだ。田舎には、私の蔵書が山の様にあるので、そのうちに古マンガ喫茶でもやりたいくらいだ。その中で、今でも印象に残っているのが小栗虫太郎著の「人外魔境」。SFと言うよりも、冒険小説と言った方がぴったり来る様な内容だが、血湧き肉踊ると言う表現がぴったりの様な気がする。主人公折竹孫七が語る世界未踏地全制覇の偉業を、友人の作家が口述筆記すると言う体裁をとっているのだが、なかなかに面白いのだ。そりゃ、大正から昭和初期頃の話だから、色々と不適切な表現が散らばっているが、そんな事は大自然の前では些末な事でしかないと、無理矢理納得させてしまうくらいの勢いがある。ちなみに、画像は復刻版の方。オリジナルは、うちの田舎に置いてある。作品の一部は青空文庫で読む事が出来るので、機会があれば是非。
なお、コミック版は桑田次郎氏が制作しており、音楽版は太田蛍一氏がプロデュースしている。
ラベル: 日常茶飯事の話
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