酒と趣味と自堕落な日々

お酒と同人ライフと趣味の世界に浸って、自堕落に過ごす「いとうみき」の日々の日記

2006/11/16

「正気にては大業ならず、武士道は死狂いなり」


と言う訳で、最近の濃いマンガ読みの推薦図書である「シグルイ」です 。このマンガについてよく言われているのは、山口貴由のオリジナル設定と脚色のために、原作のはずの南條範夫の「駿河城御前試合」は原案に近い状態になっている、と。「原作本と申したか?」って感じですが。で、実際に原作本を入手してみますた。WiKiペディアでは、長らく絶版だったそうで。画像は復刻版ではなく、入手したオリジナルの方。現在、「シグルイ」は最新刊が7巻になっていますが、原作である短編「無明逆流れ」でいえば、全体の三分の二くらいのところに相当します。原作本を読んだら、イメージが違うどころではなく、山口オリジナルの部分がこれほど多いのかと驚かされます。虎眼先生は曖昧モードや魔神モードにならないし、ちゅぱ衛門もでてきません(笑)。「ぬふう」で有名な舟木兵馬・数馬兄弟は原作にはなく、その流派が別の短編に取り上げられています。メインとなるストーリーは抑えていますが、脚色したオリジナル部分は作品としての完成度を高め、原作よりも説得力があります。「流れ」とか、「秘剣星流れ」なんて言うのは原作本ではさらっと流しただけですから、それに説得力を与えたのは山口貴由の画と言う事になるでしょう。やはり、山口貴由画、脚色の「シグルイ」は、別の作品として鑑賞した方がよろしい様です。
視覚的な効果は「シグルイ」の方が遥かに上ですが、原作の「駿河城御前試合」が作品として劣っていると言う事ではないです。魅力ある剣士達の戦いがそこにあり、女性絡みで自滅あるいは破滅の道を辿って行くのは藤木/伊良子同様です。っていうか、登場する剣士を、よくもまぁ、これだけ考えたものだと感心してしまいますね。