酒と趣味と自堕落な日々

お酒と同人ライフと趣味の世界に浸って、自堕落に過ごす「いとうみき」の日々の日記

2010/03/23

「マタンゴ」

東宝の特撮映画にはちょっとかわったシリーズがありまして、その名も「変身怪人シリーズ」と言うんですな。このシリーズの属するのは「美女と液体人間」「ガス人間第一号」「電送人間」「マタンゴ」等です。いわゆる怪獣映画とは違って、派手さはそれほどないのですが、恐怖の方がメインになってくると言うシリーズでした。このシリーズの中で一番好きなのは「ガス人間第一号」なのですが、一番恐ろしいと思うのは「マタンゴ」。水野久美姉様の妖艶さは光っていますが、恐ろしい映画の筆頭に挙げていいでしょう。ストーリーは、派手な東京のネオン街を見下ろす病室に隔離された、一人の男のモノローグから始まります。彼は、ずっと窓から見えるネオン街を見下ろしながら、話し始めます。彼とその友人たちはヨットで航海中に時化にあい、とある島に流れ着きます。何もないところでお互いのエゴと欲望が渦巻き、人の一番醜いところをむき出しにしての共同生活が始まります。ところが、その島にはマタンゴと呼ばれる恐るべきキノコが繁殖していたのです。メンバーは、一人、また一人とマタンゴを食べ、キノコと融合した新たな生命体になって行きます。主人公は、恋人とともに脱出を試みますが、その恋人もマタンゴを食べてしまいます。彼女は主人公を誘います、「先生、美味しいわぁ、本当よぉ」。周りにはキノコと融合したかつての友人たちや、それ以前から存在していたキノコ人間たちが、笑い声ともつかない奇声を上げて襲いかかります。そして、ただ一人で脱出に成功し、東京に帰還した主人公の病室にシーンが戻り、彼のモノローグでエンドになります。ここまで、病室の彼は後ろ向きのままです。そしてカメラを振り返った時の驚愕のラストシーン。久保明さんはすごいですねぇ。今時の俳優では出来ないシーンです。強いて言えば、マタンゴの群生シーンは、もっと原色っぽい感じでも良かった様に思いますが。
広義でゾンビ映画にも分類される本作ですが、シリーズ中でもっとも恐ろしい作品に仕上がっていると思ってます。ちなみに、もっとも好きと書いた「ガス人間第一号」は、もっとも哀しい作品でもあります。

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