ムロタニ・ツネ象作「地獄くん」
手持ちの蔵書には、廃刊在庫無しになったモノも少なくありませんが、多分、その筆頭の一つがこの本でしょう。本棚の奥から出てきましたので、紹介したいと思います(苦笑)。ムロタニ・ツネ象氏の作による「地獄くん」です。実際には、朝日ソノラマでまとめた作品集で、表題の地獄くんが5話、人形地獄と言うシリーズが3話収録されています。「地獄くん」は、地獄からやって来た主人公の地獄くん(まんまのネーミングやん!)が、悪人を懲らしめて、地獄へ送り込むと言う勧善懲悪モノなのですが、独特の絵柄と語り口調のため、かなり不気味な作品になっています。見開き2ページの端から端まで並んだ墓石の山とか、半分融けかかった受話器が「ウヒヒヒヒ」と笑いながらどくろの形に変わっていくとか、額に撃ち込まれた銃弾を舌の上に出してみせるとか、とにかく、他のマンガではやらないだろうと言う表現がなされています。この異様な雰囲気は、つげ義春作品に繋がるモノがある様な気もしますが。
実は、個人的には第一話冒頭にある表記が気に入っています。どくろの様な満月の横に書かれた台詞には、こうあります。「死神の泣きわらいをおもわせる満月があがった。」と。これだけでも、作品の不気味な世界観と異様な雰囲気がわかると言うモノです。なかなか古本屋でも見つからないのですが、ご一読いただければお気に召す事請け合いです(苦笑)。ただ、お子さんには与えない方がいいとおもいますよ。
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